ぽまいら～0823111 作:ﾊﾅｸｿ☆ﾎｼﾞｯﾀ

「っ！？　武器を捨てただと」
　しかしそれもつかの間。
　コウはすぐに武器を拾い上げた。
　すると、
「魔導書が、形を変えた！」
　先ほどまで書籍のような分厚い魔導書だったものが、突如として形を変えた。
　それはまるで十字架のような装飾品の形をしている。
「これはｸﾛﾑﾊｰﾂ。鍛え上げたこの武器は姿形を変えることが出来る。属性もな」
「なんだって？」
「そして今手放したこの武器は形が戻り、属性もまた『無』に戻った」
「あっ……」
「気づいたか。つまりお前に属性の優位はもうない！　ならば古からの知の差がある俺の勝ちだ！」
「ぬぅおおおおおお！」
「死ね！　愚かな新参者！　流星蹴り！」
　バックステップひとつ。
　コウは激しく飛び上がり、そしてシンキに向けてその右足を突き出す。
　すでにかかとがシンキの鼻頭を捕え、触れようかといった、その時だった。
『ﾊﾟﾙﾌﾟﾝﾃ！』
「っ！　なんだ、この寒さは！」
　突如身を包んだ凍るような寒さを受けてコウは叫ぶ。
　しかし答える声が聞こえない。
「いや、今はそれよりも目の前の愚か者を始末しなければ……っ！」
　足の先にいたはずのシンキに視線を向ける。
　だが、その姿は見えない。
「くそ、この霧のような冷気はどこから……ええい、邪魔だ！」
　さらに足を突き出し、その冷気を払おうとすると、瞬時に視界が明瞭になった。