ぽまいら〜0816111111 作:ハナクソ☆ホジッタ
『む、そうか。シンキ、今、伝令係から情報が入った。奴らまんまと罠に引っ掛かってくれたようだ』
「へえ……」
リタのいう罠とは陽動のこと。
『サンボ、サクジ、そしてチュン。こいつらは俺の陽動に引っ掛かり各地で足止めを食らっている。つまりカナン王国に残る将官はコウ一人だけだ』
「……わかった」
これもシンキとリタが事前に考えていた筋書き通り。
シンキはこんにちまで並々ならない修練を積んだ。
とはいえ、多対一になればやはり分が悪い。
できることならカナン王国将官をすべてねじ伏せて勝利することでさらにカナン王国の弱さを見せつけることができると考えていたが、シンキとリタは瞼の裏に浮かぶ顔を思い出した。
それはコウの姿。
『まああえてコウと戦わずともと思わなくはなかったが、やはりこいつを倒すことが一番重要なことだ』
「そうだな」
『なに、今のお前なら十分に戦える。負けるなよ』
「もちろんだ」
コウとの戦いは二人が望んだこと。
あの憎き古参を倒すことで二人の心に生まれた鬱屈とした気持ちが晴れるから。
だからこそ他に選択肢はなかった。