ぽまいら〜0810111111111 作:ハナクソ☆ホジッタ
「ど、どうして……」
カナン王国から追放されたシンキは草原の中を進む。
しかし目的地もなく、右へ左へふらふらとするばかり。
「何かの間違いなんだ。濡れ衣を晴らせばきっとまた俺は……」
記憶にない罪を着せられ、シンキは思う。
何かの間違いだったというk十を証明さえすればまた将官として復帰できる、と。
「それはない」
「誰だ!」
シンキが思考を巡らせていた時、背後から声がかかった。
慌てて振り向いたシンキの目に飛び込んできたのはある人物の姿。
「もうあの国にお前の居場所は、ない」
「あ、あんたは……リタ!」
黒いカッターシャツにベージュのパンツを履いているカジュアルな姿のその人物とは、カナン王国内政官のリタだった。
わずかに白いその肌と対照的な黒髪をかき上げてリタは話を続ける。
「お前はまだ最強の国を作りたいなんて妄言を捨てていないのか」
「なっ……妄言だと!」
「そうだ。国を追われ、途方に暮れているそんなお前に最強の国などつくれるのか? いや、つくれまい」
「それは……」
言われれば言われるほど、シンキの心は暗雲が立ち込めていく。
ユグドラル大陸に来た時の活力はもうない。
「でも、俺は、俺は。最強の国をつくりたい。そして今度こそみんなで楽しく暮らしたいんだっ」
「ほお……そうか」
リタはシンキの気概を見て、自分の顎を撫でながら言った。
「ならばついて来い」
「え、ど、どこに。あ、おい!」
シンキの問いに答えることなく、リタは草原の中を進んでいった。
そしてカナン王国からわずか離れた山のふもとにたどり着く。
「尾行は、なさそうだな。よし」
周囲の気配を探り、リタはひとつ頷くと両手を激しく合わせた。
パンという弾ける音が鳴ると、刹那、地鳴りが起きる。
「お、おおお!?」
地響きに戸惑いながらシンキがあたふたしているとその間に目の前の山の岩壁に大きな穴が開いた。
「な、なんだこれ」
「いくぞ」
リタの先導のもと、シンキは穴の中に入っていく。
整備されている階段を伝って下へ下へと降りていくことだけはわかった。
そして、
「こ、ここは……」
階段を降りきるとそこには広い空間があった。
「ここは地下要塞、またの名をシレジア王国という」
「シレジア、王国?」
「そうだ。ここは新参者たちを集めて作ったまさしく王国だ」
「新参者……」
リタから語られたその特色はシンキのアイデンティティともいえるそれだった。
「お前はこの国に入国する資格がある。そしてこの国で将官をする理由もな」